SEがSEたらんとし続ける謎について

前提

「上は丸投げするばかりで何もしてくれない。やり方を考えろ?考えるのがお前らの仕事だろ!」

vs

「下は自発的に動かないくせに権限は欲しがるし、そもそも意図した通りに動きもせん」

ファイッ

 

大体ね、下っ端ーズは偉い人が金を自分の懐をあっためるためだけに仕事してると思ってるんだよね。同時に偉い人は下っ端が自分の仕事でいっぱいいっぱいになってるのを知ってるけどどうにかすればどうにかなると思ってるんだよね。でもお互いに歩み寄ろうとはしないし、会話しても言語が微妙に違うからかみ合わないんだよね。なんでかね?なんで互いに不幸になろうとしちゃうのさ。

いつまで技術に傾注するか

どうもブログやらSNSやらでSE屋かIT屋を自称する人たちは、その持てる技術を如何なく発揮して存在意義を示すことにパワーをかけ続けているようだ。その事には是非もないんだけど、その中の人が中年です、初老間近です、とかいうのはいかにもよろしくない。勿論趣味でやっているのは全く問題が無いんだけど、これが実務でもそうなっているというのは、実際にプログラマとして動いている人たちの年齢層はどうなってるんだろうなと心配せざるを得ない。経験上、そういう仕事場はスキルの高い人が低い人や新参の派遣屋を一様に排斥しがちで、気付くと引継ぎもしようのないシステムが山積されていてどうしようもなくなっている。まあ派遣屋さんは勘定に入れてもよろしくは無いんだけど。

まあまあよく考えてみてほしいんだが、人生だいたい働けるのは半世紀に満たないわけで、その半分もプログラミングにガッツリ関わっていては残り半分を有意義に過ごせないだろう。勿論、残りの半分も高い技術力をもって生き抜く覚悟がある人はそれで結構なんだが、それは会社の方針にマッチしていて*1、かつ余程の技術力を持ち合わせている相当稀有なケースでないと会社の中では大変扱いにくい人材になりかねない、ということは自覚した方がいい。仕事を探す方が非常に苦労するので、既存システムのお守りに回された挙句、お守りだけなら若手でいいじゃんってことになり、技術はあるが使えない不幸な人材が転がってる仕事場なんてのはしばしば見てきた。また、時を経てシステムが時代遅れになった為に新システムへ刷新することを口実に、最初こそ要求仕様を決める為にご臨席を賜るもののその後は閑職へ回されたり、幸運にも上級職へ昇進はしたもののシステマチックなものの考え方しか出来ないので人をまとめることが出来ずに心が折れてしまったりもする。技術と比例してプライドが高いので、早々にお払い箱にされてしまうケースすらあった。こんなの、誰が幸せになれるんだろう。

自分を有能なSEだと思っているなら技術力を高めると同時にある程度で見切りをつける勇気を持たなければならない。無能だと思っているなら尚のこと、プログラム言語やその手法、手段に拘るのは30代半ばまでにしておきなさい。そこから先は割り切らなきゃいけない。

必要な能力と要求される能力の乖離

一方で、SEは入社から何年かは歳を重ねると単価の上昇とそれ相応の技術力も同時に求められてしまうので、技術力の追及をしないわけにもいかない。IT屋は小さい会社が多いから、プログラミングしつつPLなんかに任命されて人の管理もしろと言われるケースが多く、バッサリと実作業を切り捨てられない。人は得意な事には頑張っちゃう生き物だから、リーダー職の作業にはどうしても食指が動かず益々SEたらんとする方へ意識が偏ってしまう。本当はマネジメントこそ時間をかけて身につけなければいけないのだが、自分が高い技術力を如何なく発揮し、プログラミングのサポートなんかしちゃってプロジェクトを破綻させないことで、PLに必要な能力は身に付かないのに仕事はある程度うまく回ってしまう*2

これは上から見れば「あ、巧くやってるんだな」と思ってしまう。巧くやってるハズだから、当然そのへんの管理能力については都度問われない。だって、巧くやってるんでしょ?

不幸の露呈

当人はITスキルだけが上がっていく。上はエンジニアというよりマネージャとしてのスキルを得ていると思っている。ある時、どうにも回らなくなってプロジェクトが破綻するとこれがバレてしまい、双方が途方に暮れる。ああ、今更どうすりゃいいんだ・・・。

斯くて、冒頭の戦いが始まる。

大抵は偉い人が大ナタをふるう。しょうがないじゃない、PL使えねぇんだから上役が責任もって片付けなきゃ。でも片付けた時には上役は単なる憎まれ役になってて、エンジニアとの意識の差は埋まらないままだ。

まあ、プロジェクト冒頭から途方にくれてどうすればいいのかアレコレ聞いて回るのは体裁が悪いけど、それをやらにゃいけなかったんだ。本当は。ヘタに真面目に受け止めちゃうからどんづまりになってから泣き出すことになる。これもエンジニアっぽい気質のなせる業*3かな。

仕事の考え方を変える

ITは手段だ。何処まで行っても目的にならない。だから、言語もロジックもデザインも目的が達成できればどうでもよい。組んだプログラムに対してこう言われたらムッっとくるプログラマも多かろうが、この事実を受け止めるところから始めなきゃいけない。

実際完成されたロジックは見た目にも美しい。これに魅かれて研鑽する姿も美しい。しかし金にはならない。漫画に出てくるような頑固な職人が、金のために動かないのと同じように、拘るなら金の関係である雇用条件はお寒い物になることを受け入れなきゃいけない。こんな頑張って綺麗なプログラムを書いているのに給料が上がらない!なんて言ってもね。100円ショップに行きたいからヘリチャーターしましたというのと同じだ。

きっと、ブログで〇〇をするためには、というお題でサンプルソースコードを惜しげもなく公開している諸氏には苦々しい話だろう。でも、それが非の打ちどころのないコードであることは心から認めるけれども「で、それが何*4になるのか?」と聞かれたら、それが答えられなければならないんだよ。「これ単体では役に立ちません!」じゃなくてさ。

翻訳者が足らない!

偉い人はこのへんが突き抜けている。技術屋は反対方向に突き抜けている。下っ端の方が数が多いし偉い人はSNSでわざわざ発信しないから、ネット上じゃー偉い人が悪者にされがちだけどね。

この間に入ってうまい落としどころを見つける「憎まれ役」が今のところの正に私の仕事なんだけども、その一方で小さい会社だけに下っ端のようなこともやるし営業のようなこともやるし、全体の方針に口出しもすれば仕様書も書くし実装もテストもするし、サポートもする。してきた。だからまあ、下が技術に拘るのはわかる。上が成果に拘るのも同じ。

しかし、これは実は本来要らない仕事なんだ。お互いが歩み寄りさえすれば。そのためには双方相当な努力が要るんだけど、それを面倒くさいっていうんじゃーいつまで経っても不幸に甘んじるしかない。それは分ってほしい。そう思って、このスレを立てたんだ。

じゃあ、注文を聞こうか

 

*1:10年もすれば会社の方針も変わるハズだが

*2:この辺、割と分業が出来ているにもかかわらずダメになってるケースがしばしばあるんで何が一様にダメってわけでもないんだが

*3:ワザというよりはゴウであろう

*4:金。