馬鹿をなめたらいけないよ

冒頭のフレーズは、ネット界隈で情報を吸って脳へ妄想を送り込む日々を送っている人には割とメジャーだろう。どこから馬鹿か、という線引きは人によって違うが、どのような線引きだとしても実は結構馬鹿はいるのである。当たり前の事だが。

何だってこんなことを書き留めているのかと思えば、どこのブログでもSNSでも掲示板でもハチミツの離乳食だの何だのというネタに対して炎上しているのをボンヤリ眺めてしまったからだ。兎角この手の発火/炎上/延焼/分析の流れには色々言いたいことがある。*1

 

まず、ハチミツの離乳食をレシピとして真面目に書いているのは明らかに色々頭の足らない人だ。それも文字通り致命的に足らない人だ。実に残念な一定数の馬鹿が、面白い事に緩やかに滅んではいかず、一見他の情報と等価に扱えるのが最初の問題点だ。普通*2は情報の価値に応じて拡散出来る範囲が制限できなければならない。ヨタ話が全国紙の一面トップにいてはならないだろう*3

次に、それについてあらゆる方面からあらゆる手段をもってツッコミを入れてしまうという炎上プロセス。一定数の馬鹿よりは上の頭脳ヒエラルキーの方々だ。正義感でも嘲笑でもなんでもよろしい。「それは間違っている!」とツッコミを入れてしまう、相方に相応しいポジショニング。ツッコミのタイミングも絶妙だ。例えば10年前の過疎ブログとか見つけてきてツッコミ入れたって大して炎上など期待できまい。フレッシュなネタに全力で「なんでやねん!!」とハリセンキックを入れるからいい感じで「空気があったまる」のである。スルー出来ない、大阪気質なのであろう。へーちょ

積極的消極的のどちらでもいいが、敢えてのツッコミにより一層拡散してしまうというのがただのツッコミに留まらない問題ではあるが、ツッコミの数が多ければ注目度が上がる、というのはある意味間違っていないのかもしれない。先の情報の価値云々の基準によれば、価値のない情報へのツッコミもまた価値が無い筈なので、拡散範囲は狭くあるべきなのだが、これは善悪も絡んでくるので判断が難しい。これが2つ目の問題点だ。

しかしながら、ここまではまあまあ理解できる。

 

が、これを抽象化して何らかの結論を出そうと考えるのは明らかに間違っている。曰く、人類/日本人にインターネットは早すぎた、マスメディアの能力が一般人に開放される事は希望に満ち溢れていた世界を呼んだりはしなかった・・・・などなどだ。これが最後の問題点で、しかし本来最も踏みとどまらなければならないのに、踏みとどまれないよろしくない点だ。実際は勿論これより前に踏みとどまれるようになるのが美しくはある。

日常的に情報を吸い上げている、と表現したのが正にコレだが、日々空気を吸っている事実がありながら、たまたま通りかかったダンプカーの排気ガスに咳き込んだ時だけ「日本の空気は汚くなった」だのと嘆いているのが大抵の炎上騒ぎ(の末期)だ、ということだ。

残念ながら、綺麗な空気を吸っているのが当たり前になると刺激に敏感になるのが人の業というものだ。故にダンプカーの排気ガスが目立ってしまい、それについて必要以上に大きく騒ぎ立てたくなってしまうのだ。また、その騒ぎを見てしまうと自分も騒ぎ立てたくなってしまうのだ。なんせ情報を広範囲にタレ流すだけのコストなら歴史上最安価な時代だし、その手段はどこにでも転がっている。*4

そしてそこまでの流れに何らかの総括をしたくなってしまうのも、これもまた人の常というのは確かだ。 あらゆる事象は、最終的には学問に落とし込まなければならない。これは輝かしい未来のためにそうするべきなのだが、いかんせん大概の炎上はまったくもってまだまだインターネット、果ては人が作り出す何らかの最終段階になってなんぞいない。だから、安直に全体を指して嘆くものではない。少なくとも「交通戦争」なる言葉が説得力を持っていた時代に、自動車業界が暗雲垂れ込める未来であると言ったものなどいないのだ。

体感に基づく意見だが、いやはや、80年代に比べて巷の空気は明らかに良くなっている。星は見えやすくなったし、路地裏が多少渋滞した程度で灰色の空気が蔓延したりはしなくなっている。あのハイブリッドカーのモーターが生み出す「ヒィィィィ」という高音は・・・まぁ私自身がその「ヒィィィ」という自動車が売れたら売れるだけメシが食えるという商売であるにも関わらず・・・どうにも好きになれないが、東京に1日いるだけでハナクソが真っ黒になるような、そんな時代ではなくなっている。当時絶望している人が多数なら、こんな未来はなかった筈なのだ。

 

最後に。*5

馬鹿というカテゴリー自体の受け止め方も人によって違う。そりゃもう人類の最下層に位置するくらい卑下した表現としての侮蔑として使っているのが冒頭のイメージに近かろうが、「メイの馬鹿、もう知らない!」は明らかにそれとは異なる馬鹿であろう。

*1:ちなみにこの記事は分析の後の分析である

*2:普通というと違和感があるなら、ヒューリスティックな観点から言えば、だ

*3:あ、でも25年くらい前に見たインドの新聞に「ヨガの修行で空飛んでたら飛行機のエンジンに吸い込まれて死亡」とかいう記事があった事実だけは白状しておく。

*4:ああ、なんと理想的ユビキタスな世界の実現であろうか。

*5:段々とりとめが無くなってきたしそもそもちゃんと纏まっていないからそろそろ面倒になってきていて終わりたいという意味